整骨院と整体院、名前がとても似ていますが大きな違いがあります。その違いと役割について解説しています。
整骨院でできること
整骨院は接骨院とも呼ばれ、柔道整復師という国家資格を持つ人だけが開業することができます。柔道整復師は国家資格のため、養成校(大学または専門学校)で3年以上の教育課程を修了し、厚生労働省が実施している国家試験に合格する必要があります。
実は3年間も学校に通っている間に、整骨院では関係のない分野のことまで学んでいるのです。例えば、外科手術に関する内容や、ウィルスや細菌による感染症など、自己免疫疾患についてなどです。これは整骨院に来られる利用者様の施術するときに、万が一、基礎疾患や手術などの既往歴からお悩みの症状に対しての施術内容を変更しないといけないことがあるためです。
例えば、手術によって心臓周辺の血管にステントと呼ばれる金属製の物を入れられていたら、電気施術の種類によってはできないこともあります。
また自己免疫疾患で皮膚が敏感なようであれば、温める治療にも一定の配慮が必要な場合もあります。
国家資格取得者は、このような知識を身に着けているので、国が保険を使うことを認めていて、利用者様にも安心して通院していただけるわけです。
柔道整復師は、怪我や痛みに対して施術を行う外傷の専門家で、薬や手術に頼らずに手技を用いて改善へ導きます。(柔道整復術といいます)骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷の症状に対する施術に関しては、適用に応じて健康保険・交通事故・労働災害なども利用可能です。
また柔道整復師は、整体を取り扱うことも可能です。整体とは大正時代から用いられていた民間療法で、現代ではアメリカで誕生したカイロプラクティックやオステオパシーといった手法と組み合わせて行われているものです。利用者様の痛みや不調を的確に評価し、緩解に向けて必要な施術を提供します。
整骨院では、症状によって保険適用となるために健康保険の取り扱いも可能なため、比較的金額面でも通いやすさはあります。保険施術の料金は、保険の負担割合によって違うのと、初回、2回目、3回目以降でも料金が変わってきます。
整体院でできること
整体院を開業する場合、特に必要な資格はありません。誰でも簡単に開業することができます。一般的には、技術を取得するために整体学校に通い整体師という民間資格を取得します。民間資格とは、法律に基づいて実施されるものではなく、民間の団体や企業が、独自の審査基準を設けて任意で認定する資格です。
整体師は、体の筋肉や骨のバランスを調整することにより不調の緩和やパフォーマンスの向上を目指します。姿勢矯正やカイロプラクティックなど様々な方法がありますが、広義で整体と区分されることが多いです。
整体師は、柔道整復術を提供することはできませんし、健康保険などを利用することもできません。よく似た職種で『カイロプラクティック』というものがありますが、資格や開業に必要な手続きは整体院と同じとなります。保険適用外のため値段は高めになっていることが多いです。
まとめると
整体院・カイロプラクティック | 整骨院 | |
資格 | 民間資格 | 国家資格 |
業務範囲 | 体のバランス調整 | 怪我や痛みの処置・改善 |
健康保険 | × 使えない | 〇 使える(ケガ) |
両立 | × できない | 〇 できる |
どちらに通えばいい?
ここまで解説した内容を参考にしていただき、整骨院と整体院のどちらを選べばよいかを決めるポイントをお知らせします。
◎怪我や痛みの改善には整骨院
関節や筋肉、靭帯などの怪我や痛みに対する施術は、柔道整復師に認められた施術行為です。資格のない人が処置をすることは認められていません。それだけ危険が伴うためです。高度な専門技術を持っているため、軽度の不調にも柔軟に対応できます。
◎体のバランス調整には整体院
何となく体調が悪いという漠然とした状態(不定愁訴)は、体のバランスが乱れることにより自然治癒力(身体が持つ回復力)が低下したことが原因の1つと考えられています。このような状態を調整するには、整体は高い効果が期待できます。
まずは問い合わせてみてください
誤解のないようお伝えしますが、整体は国家資格ではないからといって施術が未熟ということではありません。整体やカイロプラクティック以外にもリフレクソロジー、エステ等も法律によって定められていませんが、それぞれの得意分野が社会から評価されているからこそ、全国に店舗があります。ただし、提供できる範囲に制限があります。
その点において、柔道整復師の場合は柔道整復術に限らず整体、カイロなども提供できるため、あなたの悩みに合わせた解決策を複数アドバイスしてくれることが期待できます。
多くの整骨院で対応可能かと思いますので、一度相談されるとよいかと思います。